スマートフォンと電子マネーの深い関係(3)-非接触通信を用いない決済手段

前回前々回と、FeliCaやNFCなどの近距離無線通信技術を用いたスマートフォンでの決済サービスの動向について説明してきました。今回はそうした通信技術を用いずに、スマートフォンと連携して決済ができる電子マネーサービスをいくつか紹介しましょう。

KDDIの「au WALLET」

非接触通信を用いない、スマートフォンを活用した決済手段として国内で最もよく知られているのは、KDDIの「au WALLET」ではないでしょうか。これは、MasterCardのプリペイドカードとスマートフォンを紐づけて提供される電子マネーサービスです。実際の決済は専用の磁気カードで行いますが、スマートフォン上で電子マネーを一元管理できるのが特徴です。

au WALLET

スマートフォン上で残高を確認できるのはもちろん、キャリア決済やクレジットカードなどを用い、スマートフォン上で直接料金をチャージすることも可能です。また、磁気カードで料金を支払うとポイントが貯まり、さらにそのポイントを使って決済ができるなど、クレジットカードのポイントサービスに似た仕組みを実現しています。こうした取り組みによってインターネット上だけでなくリアルの決済を取り込み、自社のスマートフォンユーザーを囲い込むKDDIの狙いがあるといえます。

au WALLETが、おサイフケータイのようにスマートフォンと決済を完全に一体化するのではなく、あえて分離しているのには、スマートフォンと決済を一緒にするよりも分離した方が、ユーザーの利便性が高まると考えたことが理由のようです。また、NFCなどのハード面をキャリア側で自由にコントロールできないiPhoneを主力商品としているKDDI側の事情も強く働いているでしょう。

PayPalの「ペイパル チェックイン支払い」

カードもNFCも用いずに、スマートフォンで決済するサービスも存在します。代表的なものが、世界的に知られる決済代行サービスPayPalの「ペイパル チェックイン支払い」です。PayPal専用アプリを用い、チェックイン支払い対応店でチェックインし、名前を伝えるだけでPayPalによる決済が行われるもので、“顔パス”感覚で支払いができます。

ペイパル チェックイン支払い

インターネット決済が主体のPayPalがスマートフォンと連動してリアル向けに決済サービスを提供するのは、やはりリアルでの決済に進出したい狙いがあるといえます。ウェアラブルデバイス向けプラットフォーム「Android Wear」への対応を進めるなど、よりユーザーが利用しやすい仕組みを整え、市場拡大を狙っているようです(写真はプレスリリースより)。

Android Wear

導入のハードルが低いように見える「ペイパル チェックイン支払い」ですが、そもそも日本のようにPayPal利用者自体が少ない上、他に多くの決済手段が提供されている国では、ユーザーや加盟店を獲得できるかが課題となります。PayPalのサービス自体を広く普及させられるかが鍵となるでしょう。

このように多くの企業がさまざまな形で、スマートフォンで決済を実現するための取り組みを進めています。一方、今なお世界的に広まる決定的なソリューションは登場しておらず、今後も各社の試行錯誤が続きそうです。

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