アプリが変える集客のかたち(3)緩いつながりで相互送客を実現するSyn.構想

前回は、検索を経由せずコンテンツからサービスへの誘導を図り、各サービスと緩い関係性を築いているグノシーのプラットフォーム化について説明しました。今回は、グノシー以上に緩い形でサービス同士を繋げる新しい発想のプラットフォーム「Syn.」について説明します。

Syn. 画面1

Syn.はKDDIが中心となって設立した「Syn.alliance」が展開しているスマートフォン向けのプラットフォームですが、最大の特徴は、プラットフォームでありながら、その中心となる要素が存在しないことです。

Googleであれば検索、LINEであればコミュニケーションなど圧倒的な人気を獲得したサービスがポータルの中心的役割を果たしており、その集客力を活かしてユーザーを集め、他のサービスへトラフィックを流すことで集客を図るのが、従来のプラットフォームのあり方だったといえるでしょう。

しかしSyn.は、そうした絶対的な集客力を持つサービスを中心に据えるのではなく、「ナタリー」「nanapi」「@cosme」などそれぞれの分野で人気を獲得しているサービス同志を繋ぎ合うことで、互いに送客し合う仕組みとなっています。個々のサービスのトラフィックが圧倒的に高いわけではありませんが、各サービスが自主性を保ちながら、トラフィックを相互の送客へと活かすことで集客を図るのがSyn.の狙いです。

Syn. 画面2

しかしながら、広告のように目立つところにリンクを張ってサービス同志を繋いでしまうと、従来からそのサービスを利用しているユーザーに違和感を与えてしまう上、貴重な広告の枠を費やしてしまうことにもなりかねず、デメリットが目立ってしまいます。それゆえSyn.では、各アプリやサービスから設定などをするメニューを呼び出した際、そのメニュー上に誘導のリンクを用意する「Syn.menu」という仕組みによって、既存のサービスに影響を与えることなく集客を実現しています。

Syn. 画面3

また最近ではもう少し踏み込んで、Syn.に参加するサービス同志を直接結びつける取り組みも見られるようになってきました。たとえばカレンダーアプリ「ジョルテ」の地図を選ぶと、ナビゲーションサービス「NAVITIME」で目的地までのルートを照会してくれるといった具合です。

圧倒的な集客力を持つ中心的なサービスが存在しないため、Syn.全体での集客力は、他のプラットフォームと比べれば弱いと考えられます。ですがポータルを持たない個々のサービス同志が自然な形で連携することで集客効果を得られるというのは、事業者にとってメリットとなります。こうした仕組みを実現できたのも、Webサービス専門ではないKDDIが中心に立っているが故といえます。

2015年2月には、新たに「食べログ」「フォートラベル」など人気サービスを持つカカクコムが参加を表明するなど、Syn.の輪は着実に広がっているようです。アプリの広まりによって検索サービスの価値が低下し、サービス同志が横につながるきっかけも失われつつあります。Syn.はスマートフォン時代において、各サービスの自主性を保ちながら横のつながりを生み出す、新しいプラットフォームの姿の1つを作り上げています。

スマートフォンとアプリの広まりによって、従来検索サービスを主体とした中央集権型のプラットフォーム、ひいては集客のあり方が、大きく変わってきています。スマートフォン向けサービスでは、そうした変化を常に意識しながら、どのような形でプラットフォームを利用し、集客に結びつけるのがベストかを模索する必要があるのではないでしょうか。