スタートアップの中小企業がWebを活用するポイント

公開日:2021-09-11 更新日:2022-06-10 by SEデザイン編集部

目次

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スタートアップの段階において、Webを上手に活用することにはさまざまなメリットがあります。むしろ、資金や販売ルートなどが確立されていない段階だからこそ、1つの武器としてWebチャネルを構築しておく重要性が高いといえるでしょう。今回はスタートアップの企業がWebを活用するメリットやコツを具体的にご紹介します。

スタートアップだからこそWebにチャネルを持つことが大事!

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「チャネル」とは、製品やサービスを顧客に届ける流通経路のことを指します。ここではまず、スタートアップの段階でWebチャネルを持つ意味やメリットについて見ていきましょう。

資金力が乏しいスタートアップ時にWebチャネルを構築する意味

スタートアップの段階で中小企業がWebチャネルを持つ意味は、「認知度の向上」にあります。起業から間もない企業では、既存の他社と比べて認知度に劣り、製品やサービスを利用してもらいたい顧客へ情報を届ける機会が乏しくなりがちです。

Webチャネルがあれば、顧客の居住エリアなどを限定せずに幅広く情報を打ち出せるため、認知度を向上させるうえで重要な第一歩となります。Webを通じた情報発信ならコストを抑えて取り組めるので、資金力に恵まれないスタートアップの段階でも、工夫次第で既存の企業と対等のビジネスチャンスを得ることが可能です。

また、多くの顧客は利用や申し込みを検討する際にホームページで情報をチェックしようとするため、Webサイトがなければビジネスチャンスの喪失につながってしまいます。こうした理由を踏まえると、Webチャネルはスタートアップに欠かせないツールであるといえるでしょう。

With/Afterコロナの時代に対応しよう

Webチャネルの重要性が高まっている背景には、コロナ禍による社会的な変化も大きく関係しています。従来と比較して買い手の購買行動は大きく変化しており、対面での商談が難しくなっているため、新規の顧客を獲得するにはWebチャネルによる接点が必要不可欠となっているのです。

マーケティングにおけるチャネルとは?

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マーケティングにおけるチャネルには、大きく分けて3つの種類があります。ここでは、各チャネルの役割と、具体的な活用方法についてご紹介します。

チャネルは大きく分けて3種類

商品やサービスを顧客に認知してもらい、問い合わせや申し込みにつなげる目的を持つチャネルを「コミュニケーションチャネル」と呼びます。情報伝達経路とも呼ばれ、なじみ深いものでは、テレビ・新聞の広告やSNS広告などが該当し、オウンドメディアも同様の役割を果たします。

また、顧客が実際に商品の購入やサービスの申し込みを行う場を「販売チャネル」と呼びます。具体的な例としては、小売りにおけるスーパーなどの実店舗や、インターネット販売におけるECサイトが該当します。

3つめは配送や物流ルートにあたる「流通チャネル」です。これら3つのチャネルはそれぞれ独自の役割を持っており、コミュニケーションチャネルなら「プロモーション」のほかに「調査」や「顧客への接触」といった目的があります。

また、販売チャネルは顧客に内容を納得してもらう「交渉」や顧客のニーズを詳しくかむための「適合」、流通チャネルは「物流」とともに、流通に必要な「コスト管理」も担います。

Webメディアをコミュニケーションチャネルとして活用しよう

3つのマーケティングチャネルのうち、コミュニケーションチャネルは顧客との接点を生み出す入り口にあたるため、特に重要度が高いです。Webメディアを通じて企業と消費者がコミュニケーションをとる場所を設ければ、自社の製品・サービスに関心を持ってくれる利用者層の増加を期待できます。

活用の方法にはオンラインとオフラインの2種類があるものの、コロナ禍においては特にオンラインでの施策が重要です。具体例としてはブログやコーポレートサイト、SNS、会員サイト、Web広告、メールなどがあげられ、いずれも顧客を呼び込む最初のきっかけになり得る役目を持ちます。

興味や関心を引き出すコンテンツを作成しよう

コミュニケーションチャネルとしての役割を果たすうえでは、単にWebメディアを立ち上げるだけでは不十分です。自社の顧客に対して有益な情報を与え、興味・関心を引き出すことで初めてマーケティングチャネルとしての効果を発揮するのです。

プロモーションや顧客との接触といった本来の目的を果たすためにも、興味を引き付けられる魅力的なコンテンツ設計を行うことが大切となります。

魅力的なコンテンツを作るための4つのポイント

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ユーザーにとって有益なコンテンツを作るためには、いくつか事前に押さえておきたいポイントがあります。ここでは、コンテンツ制作に入る前の準備段階で済ませておくべき項目を4つに分けてご紹介します。

①ターゲットを明確に定める

コンテンツを発信するうえでは、明確なターゲットの設定が重要となります。どんなユーザーに情報を届けたいかによって、目指すべきコンテンツの内容やデザインには大きな違いが生まれるのです。

Webマーケティングにおいては、まず「ペルソナ」の設定が重要となります。ペルソナとは「商品・サービスを利用してくれる架空の典型的ユーザー」のことであり、年齢や性別、収入・職種、世帯構成、居住エリア、価値観といったさまざまな項目について、詳細に仮定された対象を指します。

適切なペルソナの設定ができれば、コンテンツやデザインの方針が決まりやすくなるとともに、より具体的なアプローチ方法が見つかりやすくもなるのです。ただ、Webチャネルの構築においては、ペルソナに加えて「顧客のステータス」(検討レベル)にも目を向ける必要があります。

ユーザーの興味・関心の度合いを意識することで、コンテンツの質や量、情報の細かさなどをより的確に判断できるようになります。

②ステータスを分類する

顧客のステータスは、大きく「潜在顧客」「顕在顧客」「コアターゲット」の3つに分類することができます。潜在顧客とは自社の商品・サービスを知らないユーザーのことであり、まずは「認知」を目的として働きかけるべき顧客を示しています。

顕在顧客とは、自社の商品・サービスを認知しており、自身のニーズにもある程度気が付いている顧客のことです。顕在顧客は、まだ情報収集を行っている段階のユーザーと、購入・利用の意欲を持って比較検討段階に差し掛かっているユーザーとで2層に分かれます。

そして、コアターゲットとは顧客化できる見込みがもっとも高いユーザー層のことです。このように、顧客のステータスにはさまざまな状態があり、段階によって必要とされるアプローチは大きく異なってきます。

③ターゲットが知りたい情報を整理

顧客のステータスが明確になったら、段階に合わせたコンテンツ内容を考える必要があります。たとえば、潜在顧客へのアプローチが目的であれば、「現状の不満点に寄り添う」「サービスの必要性を伝える」といった内容の重要度が高まります。

一方、情報収集段階にある顕在顧客には、「導入の成功事例」「導入時の選択肢」「概算の金額」といった情報発信が効果的です。また、すでに比較検討段階に入っている顕在顧客は、「競合他社との違い」「最終的な金額」などを知りたがっていると推定することができます。

さらに、コアターゲットに対しては、「具体的な支払い方法や契約形態」「サポート体制」「アフターサービス」といったポイントの重要性が高まります。このように、コンテンツの魅力を向上させるうえでは、ステータスに合わせたアプローチが重要な前提となるのです。

④目標設定とチャネルの構造化

ターゲットのステータスは、選択するチャネルの種類にも影響を与えます。たとえば、潜在顧客に対して認知を向上させるためには、ブログやSNSなどのチャネルが効果的です。

一方、顧客化しそうなターゲットにCVを促すためには、サービスサイトや会員制サイトなどでアプローチするのが望ましいです。サービスの内容を細かく届けることが重要であるため、対象となるユーザーをある程度絞り込んだほうが魅力を伝えやすくなります。

また、検討段階にあるユーザーを対象とした場合は、コーポレートサイトなどで自社の信用度を高めるようなアプローチが効果的です。このように、チャネルの性質を把握したうえで、選定したターゲットと相性の良いものを選ぶことが大切となるのです。

そのうえで、チャネルを構築するにあたっては、適切な目標の設定も重要となります。目標設定においては、「具体的な指標であること」「見るべき指標を絞ること」「高すぎず低すぎない数値設定」がカギであり、適切な数値目標が決まればチャネル構築に向けた具体的な施策が見えるようになっていきます。

各種制度を活用して施策の実行につなげよう

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Webチャネルを構築する際には、一定のコストがかかってしまうため、スタートアップ時には予算を組むのが難しい場合もあるでしょう。そこで、マーケティングに活用できる補助金などの制度を利用してみるのも1つの方法です。

ここでは、各種制度の特徴やメリット・デメリットについて見ていきましょう。

新創業融資制度(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫による「新創業融資制度」とは、これから起業する、あるいは起業して間もない事業者を対象に、「無担保かつ保証人なし」で融資を行う制度のことです。政府系金融機関であることから、一般の金融機関と比べて企業の成長性が重視され、積極的な融資を期待できるのが大きな特徴となっています。

無担保無保証で最大3,000万円までの融資が受けられ、申し込みから1ヶ月程度で融資を実行してもらえるスピードの速さもメリットです。また、審査の際の自己資金割合(自己資金÷創業資金)についても、その他の融資制度と比べて基準が低く設定されています。

小規模事業者持続化補助金(日本商工会議所)

日本商工会議所が取り扱う「小規模事業者持続化補助金」では、一定の要件を満たせば「販路開拓等にかかる経費の3分の2あるいは最大50万円」までの金額を受け取ることができます。補助対象となるものは具体的に決められているものの、Webサイト制作費やネット広告などの広報費であれば問題なく利用が可能です。

ただ、申請できるのは日本商工会議所の支援を受けながら経営計画を作成し、計画に沿って地道な販路開拓に励む事業者に限られている点に注意が必要です。そのため、商工会議所との細かなやりとりが求められ、申請できるまでには時間と手間がかかってしまう点は理解しておきましょう。

IT導入補助金(経済産業省)

経済産業省が取り扱う「IT導入補助金」とは、ホームページやECサイト制作などのIT事業に関するツールを導入する際に、経費の一部を国が補助してくれる仕組みです。大きな特徴としては、「原則返済不要」であることや「補助金の枠が広い」点があげられ、2021年度では通常枠で1/2以内、特別枠なら2/3以内もの費用を負担してもらえます。

一方、補助金関連に多くみられるデメリットでもありますが、給付は後払いとなるため一旦は自費で費用を負担しなければならない点は理解しておきましょう。また、必要書類が多くて申請に時間がかかる点や、使用できるITツールが決められている点、必ずしも申請が採択されるわけではない点にも注意が必要です。

事業承継・引継ぎ補助金(経済産業省)

事業再編や統合を含む事業承継・引継ぎをきっかけに新たな取り組みを行う中小企業に対して支給される補助金のことです。補助上限はコースによっても異なるものの、最大400~800万円であり、補助率はいずれも2/3と決められています。

ただ、その他の補助金制度と同じように、申請に手間や時間がかかってしまう点や、必ずしも採択されるわけではない点には注意が必要です。

まとめ

スタートアップの中小企業にとって、Webチャネルの活用は必要不可欠です。ただし、闇雲にWebチャネルを立ち上げても、想定するような効果を得るのは難しいでしょう。Webチャネルの構築を行ううえでは、細かなターゲットの設定やアプローチ方法の検討が重要です。Webチャネルの目的や種類、効果を発揮させるためのコツを押さえて、スムーズに自社のビジネスを軌道に乗せましょう。

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